■ストレスが冷えの原因になるわけ
ストレスを感じている時、私たちは心も体も緊張状態になります。これは生物として自然な反応。でもそれがずっと続くと、血管が収縮したままになるので血行が妨げられ、さまざまな影響があらわれてきます。冷えは、そのひとつなのです。
■気分が沈んだときなどに現れる不調として「冷え」
例えば、「いつも時間に追われている」「仕事中は緊張をゆるめられない」といった状況により、ストレスを受け続けると、交感神経が優位な状態が続きます。
交感神経は、主に体が活動しているときに働く自律神経で、手足などの血管を収縮させる働きがあるため、血行が悪くなり、冷えにつながるのです。
また、自律神経は体温を調節するほか、消化器をはじめとする多くの器官をコントロールしています。個人差や気温による相違はありますが、寒暖差が約7℃以上になると、交感神経が優位になり続けることで自律神経のバランスが崩れ、体温をうまく調節できなくなります。
また、冷えだけでなく、胃腸の不調、めまいや頭痛などを引き起こすおそれもあります。
■「冷え」が引き起こす負のスパイラル
ストレスによる過緊張を放置していると、さらなる「冷え」の悪循環をまねいてしまう可能性があります。
まず、ストレスによって自律神経がバランスを崩し、交感神経ばかりが優位にはたらくと、血液がドロドロになるだけでなく、筋肉の硬直化が進みます。
筋肉が硬くなると血行が悪くなるので、ますます血液が体中に行き渡らなくなり、冷え性を悪化させてしまいます。
また、そもそも四六時中、手足の冷えを感じること自体が大きなストレスの原因となりえます。寒さを我慢してばかりいては、仕事に集中したり、プライベートを心から楽しんだりできないこともあるでしょう。こうしたイライラが積み重なると、さらに血行が悪くなってしまいます。
冷えによる筋肉のこわばりと、精神的な負担。「冷え」によって体と心の両面から、「冷え」が生まれるという悪循環を作りだしてしまうのです。
■自律神経の乱れ
ストレスや不規則な生活などにより、体温調節の命令を出す自律神経がうまく機能しなくなります。また、常に室内の空調が効いていると、室内外の温度差が激しくなるため、自律神経の機能が乱れます。こうして、夏でも冷え症になるのです。
■ストレス冷えの特徴
部分的に汗をかく「交感神経の緊張から、手のひらや足先など部分的に汗をかいてしまう人は、“ストレス冷え”の可能性が高いです」
目黒西口クリニック院長の南雲久美子先生
外から温めるなど体をリラックスさせると症状が悪化する「“ストレス冷え”の人は、緊張した状態が普通になってしまっているため、体がリラックスした状態になっても気持ちはリラックスすることができず、かえって“冷え”の症状が悪化してしまいます」
イライラ・不眠・うつなどの症状が出やすい「“冷え”から派生した不調はいろいろあるが、“ストレス冷え”の人には、こういった自律神経系の症状が出やすい傾向があります」
“冷えている”という自覚がない「“ストレス冷え”の人は“冷え”の自覚がないため、1年中冷たいものを飲んだり、冷房にあたり過ぎたりすることで、“冷え”をため込み、気がつかない内に悪化させている人が多いですね」