仙厓義梵(せんがい・ぎぼん)を知っていますか?
寛延3年に美濃国(岐阜県南部)生まれ、寛政元年から文化8年まで筑前博多聖福寺の住持を務めた人物。
19歳で僧門へ入り、禅修行の傍ら、40代後半頃から狩野派の絵師について習うなど、絵を描き始めます。
還暦を過ぎた頃から書画に本腰を入れはじめ、80歳を過ぎてもなお制作意欲は衰えることなく、現存する作品だけでも2000点を超えると言われています。
仙厓のユーモラスで楽しい禅画は人気を博すとともに、地位や名誉を求めずに生涯を黒衣(こくえ)の僧として過ごした潔さと、気さくで正義感の強い性格ともあいまって多くの人に慕われました。
仙厓和尚の絵は、とにかく「ゆるふわ」!
その絵はまるで現代のヘタウマなイラストのようで、昔のものとは思えないほど新鮮で、まさに〝ゆるカワ〟。
もう上手いとか下手とかそんなことはどうでもよくなってくるほど、心揺さぶられトキメいちゃうのです。
日本美術史上においては異質ながら、親しみやすさで人気急上昇中です。
本格的に絵を描き始めたのは40代後半になってからと見られている。仙厓の絵は生前から人気があり、一筆をねだる客が絶えなかった。
若い時は、狩野派にならい、詳細まで技巧的に描いた山水画等を描いていました。老境に入るにしたがって、画風はだんだんと簡略化され、「かわいい」と言われるマンガ的・即興的な禅画が増えていきます。
仙厓さんも若いときは普通にすごく上手な画を描いていた。それがのちになんともユルイ、ユーモアたっぷりの画に変貌する。ピカソみたいだと思った。
「禅画」の多くでは、絵画本体の余白スペースに、絵の内容と連動して仏教の教えに基づいた詩歌や文章が描かれています。これを、「画賛」といいます。
仙厓義梵の作品も多くが「画賛」が書かれています。
仙厓の禅画の世界は、素朴な表現や、ゆるカワともいえる脱力系の筆致によって身近に感じられますが、そこには仙厓独自の禅の哲学が込められています。
仙厓は絵画の余白に書いた「画賛」を通じて、禅の教えを説きました。
ゆるカワだけど奥深い、仙厓義梵の禅画ギャラリー
丸い円を描くことは円満な悟りの境地の表明であるとして、古来より禅僧たちが好んで描いてきた。
だが仙厓さんはこの図に「これ食うて茶のめ」という画賛を記した。まるで一円相を饅頭か何かに見立てたかのようだ。