◆あなたは大丈夫?『させていただく症候群』
「お伺いさせていただく」「出張させていただく」など、仕事上のメールでよく目にする「させていただく」という表現。
「丁寧に!」って気を使うあまり、つい頻繁に使っちゃう。でも、実はこれって間違った敬語の使い方で、最近では「させていただく症候群」って呼ぶのだそう。
◆『~させていただきます』の連発にイラッとする人もいるみたい…
会話中に「させていただきます」を多用すると、くどい印象を与える
「させていただく」の多用は耳障り
◆なぜ、使いすぎてしまうのか?
いつでも「させていただきます」と言ってしまうのは、「付けておけば失礼にならない」という意識が働くから。
謙譲を美徳とする日本人に好まれる表現
◆文化庁の『敬語の指針』 : 「させていただく」の使い方について
基本的には、自分側が行うことを、
(1)相手側や第三者の許可を受けて行い、
(2)そのことで恩恵を自分が受けるという事実や気持ちのある場合
に使われる。
(1)(2)の条件を、どの程度満たすかによって 「発表させていただく」など 「…(さ)せていただく」を用いた表現には、適切な場合と、余り適切だとは言えない場合とがある。
◆正しい「させていただきます」の使い方
「させていただく」という言葉は「自分の行動に、相手の許可をもらう」ということと、「恩恵にあずかる」という気持ちを、同時にあらわす言葉です。
了解を得る相手がいなかったり、了解を得る必要がなかったりする場合に使うのは適切ではありません。
○ そちらの会場を使わせていただくことになりました。
○ 今日は早退させていただきたいのですが。
「早退させていただきたい」は「早退したい。許可してもらえるとありがたい」という気持ちが込められている。
◆間違った「させていただきます」の使い方【文法として間違い】
× ご利用をお待ちさせていただきます。
文法的にまちがい。「お(ご)~させていただく」という敬語の用法はない。「お待ちしております」が正しい。
× 拝見させていただきました
〇 拝見しました
一見丁寧な敬語に思えますが、実はNG表現。「拝見する」というのは「見る」という言葉の謙譲語です。さらに「頂く」という言葉も謙譲語で、「二重敬語」となってしまうのです。
「拝見致します」も「拝見」という謙譲語に「する」の謙譲語である「致す」が付く「二重敬語」だと考えられています。
◆間違った「させていただきます」の使い方【過剰な丁寧さ】
× 来月退社させていただくことになりました。
〇 退社することになりました
「退社させていただく」も、「会社を辞めたいんです。慰留しないでください。お願いです。辞めさせてください」と直談判した末に退職を許されたのならともかく、辞めるという事実を謙虚に告げるだけなら、「させていただく」は要らない。
× 10日までお休みさせていただきます。
○ 10日まで休暇をとっております。
◆間違った「させていただきます」の使い方【慇懃無礼な印象】
気持ちがさほどないのに二重、三重に敬語を使うのは、かえって慇懃無礼な印象を与えることもある。
相手と場に応じた適切な敬語を使おう。
× 説明させていただきます
〇 説明致します
頼んでもいない状況で「説明させていただきます」と言われると、なんだか強引な印象になってしまうのです。