性感染症の「梅毒」が急増している
梅毒は、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。
病名は症状にみられる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることに由来します。
2015年から梅毒の届け出数が急激な増加傾向にある。
2017年には、年間報告数が44年ぶりに5000例を超えたほど。
現代日本において再び勢いを取り戻して問題となっている恐い感染症なのです。
感染経路と症状について
梅毒トレポネーマは、口や性器などの粘膜や皮膚から感染するため、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)が主な感染経路となっています。
感染から3週間ほど経過すると、初期硬結しょきこうけつと呼ばれる硬いしこりができることがあります。
初期硬結は通常0.5~2cm程度の大きさになり、その後急速に硬性下疳げかんと呼ばれる潰瘍になります。硬性下疳は赤く隆起したしこりが破れることでえぐれたような形になります。
ほとんどの場合、初期硬結や硬性下疳は痛みやかゆみを伴わず、もしあったとしても軽度の疼くような痛みがある程度です。
菌が血液を介して全身に広がり、皮膚や粘膜にさまざまな発疹の症状がみられ、倦怠感や発熱などの風邪のような全身症状もでてきます。
またこの時期には、手のひらや足の裏など体全体にうっすらと赤い発疹(バラ疹)が出るなど、広い範囲で皮疹が出現することがあります。
このバラ疹は梅毒の症状としてよく知られているため、この段階で梅毒なのではないかと気がつく患者さんが多いです。
その感染力は、HIVなど他の性病と比べ非常に強い。
その感染力は、HIVなど他の性病と比べ非常に強く、たった1回の性交で感染する可能性は、15~30%と非常に高いのです。
抗生物質が使用できる現代では治療可能である場合がほとんどですが、進行すると骨まで溶かしてしまい、重症のものであると命さえ落とすことがあるのです。
また、妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります(先天梅毒)。
キスやコップの使い回しでも感染!
また口に病変部分がある場合、オーラルセックスだけでなく、キスやコップの使い回しだけでうつることもあるのだ。
例えば梅毒に感染している人の血液に直接手で触れて、手に傷口があった場合には、そこからが病原体が侵入して感染する可能性があります。