黄金色に輝くカンボジアシルクとは
カンボジアにはゴールデンシルクと呼ばれる金色の絹糸があります
なんと東南アジアの国・カンボジアでは、黄金のシルクが採れるのだそうです。
東南アジアではタイシルクが有名だが、カンボジアのシルクが世界有数の技術を誇るレベルにある事はあまり知られていない
そんなカンボジアのシルクが、現在注目を浴びています。
タイや中国のシルク(蚕)は白い繭を作る。
なぜならば、その白い繭たちは品種改良された、色染めしやすい繭なのだ
普通、絹(シルク)といえば美しい純白色ですよね。
カンボジアは一切品種改良されていない、手付かずの100年前、500年前、1000年前と同じもの
カンボジアの生糸は、品種改良されている日本や中国の生糸に比べて、シルク本来の良さがあると言われています。
絹の原種糸ともいわれる独特な黄金色と光沢感を放つカンボジアのゴールデンシルクは、内戦による絶滅の危機にさらされながらも復活を成し遂げた価値ある古美織物
内戦の混乱によって失われかけた技術が復活したのが、カンボジアシルクです。
美しすぎる金色シルクの秘密
カンボウジュ種と呼ばれるカンボジアの蚕は黄色い繭になり、そこから引かれる生糸も黄色
カンボウジュはカンボジアに古くから伝わる、あまり品種改良がなされていない熱帯種の蚕です。
繭から取った糸は黄金色をしていて(=なので、現地ではゴールデンシルクとも呼びます)、周りの硬い層を取り除く作業(=精練)をすると黄色味のクリーム色になります
普通、繭といえば、糸が何重にも吹き付けられて形作られているため、繊維が表面を覆ってふわふわした印象の表面を持っています。
ところが、ドンドンの繭は本当にピカピカした黄金色の金属的な光沢を放つのです
カンボウジュと似たインドネシア原産の野蚕クリキュラ(現地ではドンドンと呼ばれています)の紡ぐ繭も黄金色をしています。
黄金色に発色するのは、ドンドンが食用とする葉に含まれる黄色の色素が、繊維に入っているからであるといわれています
カンボジアシルクの特徴
カンボジア・クメールシルクは、タイシルクのようなツルンとした手触りとは異なり、ざっくりとした質感のシルク
カンボジア・クメールの黄色いシルクは機械生産に向かない非効率的な蚕だと言われていますが、昔ながらの非効率的な黄色い蚕は、丈夫でしなやかな高品質の生糸を吐きます
カンボウジュの魅力は、その風合い、質感、色合い・・・んー、その「存在感」と言った方がいいでしょうか
その独特な色から作り出されるシルクの色合いは、日本人の「和」の色とどこかリンクするように感じさせます
品種改良されたシルクではとうてい前のできない風合い。
温かみ、ぬくもりが伝わってくる
在来種のカンボウジュ種の繭は、日本の品種の3分の1位の大きさしかなく、とれる糸も少ない
それゆえに、貴重なのですね。
カンボジアシルクの歴史
シルクの製法は中国から伝わり、アンコール王朝には王族用に布を織る工房があったとされ、フランス植民地時代にはヨーロッパに輸出されていました
アンコール王朝時代には、王宮に、王様やその家族のために布を織る工房があったとされ、フランスの植民地時代には、カンボジアからヨーロッパに向け、シルクが輸出されていた記録もある
カンボジアは長い内戦時代の間に多くの知識階級や技術者、職人が理由なく殺され、そのせいで母から子へと伝わるはずの伝統的なものが途絶えてしまった・・・、という歴史背景があります
内戦によって失われかけた技術のひとつとして、このカンボジアシルクが知られています。