▽ 風景をより印象的に!「PLフィルター」とは
PLフィルターは写真撮影の上で、一番活用頻度の高いフィルターです。
写真撮影では昔から、レンズの先にフィルターをつけて写真に様々な効果を施してきました。
現在は撮影後のデジタル処理やカメラ本体の機能でソフトフォーカスや光芒強調などの効果を付加することができるため、写真を始めた方はフィルターの存在そのものを知らない場合も多いかと思います。
PLフィルターのPLとは、Polarized Light(偏光)の略です。PLフィルターは偏光膜を利用したレンズフィルターの事で、主に一眼レフカメラ・ミラーレスカメラの交換レンズのレンズ前面に装着して使います。
PLフィルターとは何か?ということを一言で表現するならば「反射光の量を思い通りにコントロールするフィルター」です。決して「反射光を取り除くフィルター」ではありません。
光がガラスやプラスチックなどの非金属の平面に特定の角度で当たり反射すると、反射した光の性質が大きく変化し、一方向にのみ振動する偏った光になります。
この光の量をコントロールすることができるのがPLフィルターです。
レンズフィルターの定番といえば、PLフィルターがまず念頭に浮かぶ人は多いだろう。デジタル処理で代用しづらい効果を持つことから、今でも高い人気を誇る
PLフィルターの持つ効果である「光の乱反射を抑制する」は、Photoshopなどで後から処理できない種類のもののため、今でも最も使用頻度が高いフィルターなんです。
▽ PLフィルターの様々な効果
PLフィルターは、二層構造になっていて、前面部分をくるくる回すとその回した角度によって、0%から100%まで反射光を取り除く量が変化するように設計されています。
その効果を簡単に言うと被写体の色調を鮮やかにするフィルターです。正確には反射が取り除かれて、被写体本来の色がはっきりする効果があります。
水面やガラスの反射による写り込みを除去できるため、ショーケース内の展示物撮影のようなガラス越しの撮影に使われる。また空気中の水蒸気の反射を除去するため、青空の色調あるいは樹葉・山肌・建物などのコントラストの強調に効果がある。
風景写真には必須のアイテム、PLフィルター。
余計な光の反射をコントロールし、被写体本来の色を写すことができます。
(左:フィルターなし、右:PLフィルターあり)
・青空をより青く
青空に白い雲が浮かんだ景色は見る人に強烈なインパクトを与えますが、デジタルカメラで撮影した場合、目で見たのは青空でも、写った空は白っぽくてさえないことも多いですよね。
これは空気中の水分やほこりに光が乱反射して空が白っぽく霞んでしまったり、露出オーバーになって白飛びしてしまったり、が原因です。
青空をそのまま写す為には、大気中の光の反射を制御(偏光)する必要があります。
その為には、PLフィルターというアイテムを使用するのが一般的です。
PLフィルターを装着すると光の乱反射をコントロールでき、青空をより印象的な色で写すことが可能になります。
虹は、太陽の位置が低く、光が差し、反対側に雨が降っていると現れます。多くの場合、短い時間しか現われていません。きれいに見えていても写真に撮ると色が薄く目立たない事があります。PLフィルターを装着して調節すると濃く写すことができます。
・水面やガラス面の反射を抑える
反射光を取り除くという効果から、水面やガラスに反射した光を取り除くこともできます。
水やガラスなど、もともと光を透過させる物に反射した光にも効果を発揮します。
肉眼で見た通りにしたい、水面の反射が面白いと思ったらPLフィルターを外すべきです。
PLフィルターの反射除去効果によって印象的な写真にはなりますが、見たままの風景を撮影したいなら不要なフィルターなので注意しましょう。
・桜や紅葉を印象的に
光の反射で白めに写る、これは実は紅葉の写真も同じことがいえるのです。
PLフィルターを使わずに紅葉を撮影すると、葉にあたる太陽の光が白く反射する場合があります。効果を目一杯に効かせれば、光の反射はほぼなくなり、鮮やかな紅葉がさらにクッキリと映し出されます。
PLフィルターを装着すると桜はピンクに、梅は本来の白に、菜の花は黄色に、そして空は青く、写真に撮ることができるのです。